時をかける少女

この夏一番の話題作。評判聞けば良い評判しか耳に入ってこないし、ストーリーも全く知らないし。で、誘われたのでこれ幸いと見に行きました。


感想。90分の娯楽映画として完成度も高く楽しめました。不思議な力を手に入れる主人公、青春グラフィティ、派手なアクション(主に主人公の真琴)。90分飽きることなく、寝ることもなく見ることができたのは、作品のテンポの良さがあるんだと思います。キャストも、声優畑の人たちじゃないのですが、ナチュラルな感じがこの映画にはマッチしていたと思います。


ですが。


どうも自分はこのストーリー展開に納得いかず。正確には、真琴のキャラクターが好きになれませんでした。どうしよう、ネタばれOKかな?まだ上映中なんで微妙な所ですが、いっか。以降ネタばれ含みます故反転。



展開としてはドラえもんの王道パターンをシリアスにした感じです。のび太くんが道具を使って楽しむけれども、悪用し過ぎて痛い目見る感じの。


そして、この話もいろいろ自分の都合の良いようにタイムリープ(時間移動)を行って、自分の望む世界へと変えて行きます。鉄板焼き食べなおすくらいなら可愛いのですが。自分はこの過程に苛立ちを感じました。


最たる例は、調理実習事件ですね。名前忘れたので、被害者を仮にA君としましょう。何もA君と真琴の役割を入れ替える必要はなかったと思います。真琴が調理実習を慎重に行えばよかっただけの話。もちろん、先に真琴が失敗しことを、そうやって別の人物が繰り返すことによって、絵的な面白さは生まれるかもしれません。でも、主人公が人を貶める(本人はそうとは気付いてないことも含めて)様子で面白さを求めるという構成が好きではありません。ドラえもんでも同じことはありますが、あれはいじめられた仕返しだったり、終わってしまえば笑い飛ばせるようないたずらレベルなので別です。また、叔母さんの言葉やA君への嫌がらせがエスカレート・A君から直接の発言を聞くまで、自分がやってしまったことの重大さに気付かず、さらにはそれに対する後悔の念すらほとんど描かれなかった真琴の精神的未熟さにも悪印象を持ちました。A君のために調理実習をやり直そうとはしませんでしたし。


それと比べて、恋愛沙汰になると途端に何度もタイムリープを繰り返すという点も悪印象。そんなに重く考えずこのシーンだけ見れば、タイムリープが連続で繰り返されるのも映画のテンポとしては良いんだと思います。ただ、上に書いた調理実習と比較して考えると、何か違うだろ?と。


真琴のキャラクター付けが明確ではなかったからこう思うんだろうなぁ。もし真琴が、ちょっとしたワルとかいう設定だったら、特にこうは思わなかったんだと思います。自分のストーリーへの見方として、設定と行動のギャップを含めた主人公の性格が大きく影響しているんだと実感。好きな作品って大概主人公に好印象持ってますし、逆もまた然り。


疑問としては、自転車での千昭の真琴への告白シーン。真琴がタイムリープ使ってうやむやにしてしまいましたが、千昭が後々自分の世界に帰らなくちゃいけない、ということを考えると、彼の告白の真意が分かりません。勿論真剣だとは思うのですが、告白して真琴からOKをもらったら、どうするつもりだったのか。勿論、友梨と付き合うことになった時もです。両想いになった後に自分の世界に帰るというのは酷でしょう。でも終盤の展開と照らし合わせると、千昭は最終的にいなくなるんだと思います。残るようには思えません。


千昭が未来人だって告白したとき、超展開だと思ったのは僕だけ?伏線見逃したかなぁ…。


とまぁこんな感じで。勿論、上で書いた不満点を単純に全て削除しただけでは映画としての完成度はごっそり落ちてしまうと思うので、映画としては高い水準にあるんだと思います。ただ、全体の完成度が高い代わりに、細部の心情描写の荒さが目についた、自分の好みからずれていた、ということです。


あと、フィルムの問題でしょうが、気になるくらいノイズが多かったです。これも映画の味と言えば味なのでしょうが、上映当初に見ても、しばらく経過してから見ても、値段は同じなんだよなぁ…。デジタル化を応援。


久しぶりに、一般論と好みが食い違った…。大概、一般的に好まれているものに対しては、好きorどうでもいいというパターンが多いんだけど、今回は珍しく逆ベクトルに…。