走って帰ろう!

小説感想文です。テーマが賭け自転車レースという極めて珍しい小説。高校生の卓也は夜逃げした親の借金12億5千万を返すために賭け自転車レースに出場することに…。


スピード感溢れる感じでぐんぐん読んでいけます。自転車レース全然わかりませんが、特に読みにくいとは思いません。自転車レースって意外と小説向きなのかもね。マラソンだとスピード感は出しにくいし、短距離走だとすぐ終わっちゃうし。かといってF-1とかだと、レース中、レース後の疲労感を描きにくいし、さらには自転車レースだと、レース中にレーサー同士のコミュニケーション(といっても目線とか軽い会話くらいだけど)を描けますので。


ストーリーは一巻完結。前向きな感じで終わって良いです。気になった点としては、以下の二点。


1.主人公卓也が、借金取りのヤクザ原田にタメ口で会話する意図が分からない。
…原田はヤクザといっても、ちょっと普通のヤクザと違う感じで描かれています。子供っぽいと言うか。それを表すためかもしれませんが、一応主人公より年上だしね。タメ口叩いてると読んでて違和感が。


2.卓也とヒロインの「委員長」が、卓也の兄貴を苦手がっているが、その表現が足りない。
…主人公の兄貴は出木杉君なのです。卓也と委員長はそれぞれ苦手とは言っているのですが、それを裏付ける程兄貴の描写が多くない、というかほとんどないのです。むしろ名前すら出てきてないんじゃ…。


ページ数が足りなかったのかなぁ。兄貴の描写はもうちょっと欲しかったです。