クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

今日テレビであったので見ました。二回目。一回目は一年半くらい前にとうもろこし宅でDVDを見たことが。衝撃でした。しんちゃんが…。ストーリーに脱帽。


この話では、極端な懐古主義者が敵です。ですが、懐古主義者自体が我々の世界で一般的に悪人というわけではなく。それはそれで良いんです。序盤はオトナたちが童心に帰り楽しく遊んでます。それは非常に微笑ましい光景です。洗脳されてるとも言えるのですが、それをまったく感じさせない序盤。それが敵に回るということが斬新です。イントロのひろしSUNの活躍。あの楽しそうな状況は、それが敵の罠だとまったく感じさせません。


20世紀博からの大事なお知らせ。あれホントに怖い。不気味過ぎます。敵からの通達で、あんなに感情のないものありません。ただ淡々と用件だけを告げる。そのメッセージがあまりに短く、内容が謎。ただ不気味さだけが伝わってきます。あのシーンは怖い。


全体的にレトロな音楽が使われております。それも懐かしさを誘い、怖い。視聴者までもがオトナ帝国の洗脳にかかりそう。


かといって話が大人向けかというと、中盤のバスジャックシーン・終盤のタワーのシーンはクレヨンしんちゃんらしさ全開です。笑いの勢いはしんちゃんらしく。


この話の一番の見所はやはりひろしの回想シーンでしょう。僕がまだ体験してないような社会人生活。やはり自分の父親に当てはめたりもします。それで涙をうまい所誘われてしまいます。


この話に足りないものと言えば、敵の行動のきっかけ。懐古主義はそれはそれで良いのですが、現代・未来をそこまで否定する気持ちの描写は淡白だったかも。


このストーリーは「クレヨンしんちゃん」じゃないとできません。実写ではギャグシーンが滑稽過ぎるものとなってしまいます。また、アニメだからと言って、ドラえもんじゃできません。クレヨンしんちゃんが、「家族」をメインに据えた話だからこそできるのです。


この映画は、子ども向けでも大人向けでもあります。ですが、一番見て欲しいのは僕らの世代。中学生くらい〜20歳台。映画内のひろしたち大人の世代でもなく、しんちゃんたち子供の世代でもなく。どちらかに深く感情移入せずに、あの20世紀博の風景を「懐かしそうだな」と思えるくらいの世代が一番この映画を楽しめるんじゃないかと思います。


この映画が「日本のメディア芸術100選」、アニメーション部門19位というのは納得の結果です。